簿記検定試験用のおすすめの電卓・計算機
簿記に使用する電卓・計算機の選び方
簿記・経理で使う電卓・計算機は、普通電卓あるいは事務用電卓といわれるものになります。普通電卓とは、四則演算のできる一般的な電卓・計算機のことです。事務用電卓とは、実務電卓ともいわれていますが、事務処理に適した電卓・計算機のことです。キーの形にいろいろな工夫をし、早打ち機能などを備えた、耐久性も優れた電卓・計算機のことです。【00】キーや【000】キーなどの特徴があります。事務用電卓は、普通電卓に比べて高級な電卓・計算機となります。簿記や会計を生業とする人たちをターゲットとした電卓・計算機です。
簿記や会計のプロにとって、電卓・計算機は、とても大切な道具です。難しい簿記や会計の資格試験に打ち勝って、上級の簿記会計資格を取得した方たちの中には、マイ電卓に愛着を感じていらっしゃる方も少なくないと思います。
簿記検定受験者にとっては、どの電卓・計算機を選ぶかということは、おろそかにできない要素だと思います。日商簿記3級だけの受験でしたら、電卓にそれほどこだわらなくても、合格することができます。しかし、上級の簿記資格試験では、如何に正確に素早く計算を行うかということが必要となってきます。
もちろん、良い電卓・計算機を選んだからといって、その電卓・計算機を使いこなせていなければ、効率的な解答は望めません。
さらに、試験時間に電卓・計算機の使い方を考えていては、合格することはできません。簿記検定試験の学習を推し進めていく過程で、指になじんだ電卓・計算機を無意識に近い状態で使いこなし、問題の解答にエネルギーを注がなければなりません。
電卓・計算機のメーカーごとに、キーの配列や定数計算のキー入力順が異なります。キータッチや形にも、それぞれの電卓・計算機メーカーごとに独自の工夫を凝らしています。学習の途中で、電卓を買い替えるのは、大きなロスです。
それだけに、電卓・計算機選びは、非常に大切な問題なのです。
そこで、どのような電卓・計算機がおすすめなのか、注意すべき要素を以下に述べていきます。なお、日本の3大電卓・計算機メーカーのCasio・SHARP・Canonを調査の対象にしました。
電卓・計算機の形状
1. 電卓・計算機の大きさ
電卓・計算機の大きさは、電卓・計算機を見なくても間違いなくキーを打てるキーの大きさと各キーの間隔が確保できていることが大切です。事務用の電卓・計算機は、ほぼ3種類の大きさが用意されています。 電卓・計算機の大きさは、電卓・計算機の機種やメーカーによって何ミリかの違いがあります。そこで、切りの良い大きさで表しました。
メーカー | 縦180mm×横110mm | 縦180mm×横135mm | 縦180mm×横175mm |
---|---|---|---|
CASIO | ジャストサイズ | デスクタイプ | |
SHARP | ナイスサイズ | セミデスクトップ | デスクトップ |
Canon | チルト卓上 | 卓上 |
※営業など外へ持ち歩くのに便利なさらに小さなサイズの電卓・計算機もあります。 簿記検定に向いた電卓・計算機の大きさは、一般的に手のひら位の大きさといわれています。ご自分の手に合った指をうごかしやすい電卓・計算機を選びましょう。 さらに、簿記検定に相応しい電卓・計算機は、問題用紙をめくる邪魔になったり、解答を書きにくくなったりするほど大きすぎないものが良いとされています。簿記検定の試験時の一人分の机のスペースは、それほど広くありません。問題用紙や解答用紙それに電卓・計算機を、上手に並べてストレスなく解答していくことも大切なスキルです。
2. 表示を見やすくする機能
表示に角度をつけて、電卓・計算機の表示を見やすくする機能です。3種類の機能があります。
Ⅰ. チルトディスプレイ機能
表示画面の角度を自由に変えることのできる機能です。簿記検定試験の受験にはチルトディスプレイ機能がある電卓・計算機がおすすめです。
Ⅱ. 傾斜表示タイプ
表示画面に傾斜をつけて数字を見やすくしたものです。簿記検定試験の受験には傾斜表示タイプの電卓・計算機がおすすめです。
Ⅲ. スタンド付き
電卓・計算機の裏にスタンドをつけ、表示画面が見やすいように自由に傾斜がつけられるようしたものです。簿記検定試験の受験にはスタンド付きの電卓・計算機がおすすめです。
3. 電卓・計算機の裏の滑り止め
電卓・計算機の裏にゴムを張り付けることにより、滑り止めとなり、電卓・計算機を操作している時のずれを防止し、より安定した正確な計算ができるようになります。簿記検定試験の受験には裏に滑り止めのある電卓・計算機がおすすめです。
電卓・計算機のキー
1. キーストローク
キーストロークとは、電卓やキーボードのキーを押したとき、どれだけ深く沈み込むかということです。ストロークが深いほうが、はっきり押した感じが得られます。ストロークが浅いと、軽やかに処理をしていける感じがします。 どちらのタッチ感が好みなのか、使いやすいと感じるのかは、個人によって異なります。電卓・計算機を、通販で買う方もいらっしゃるでしょうが、出来れば実際に触って選ばれることおすすめします。
2. 電卓のキー配列
キーの配列によって、電卓・計算機を右手で打ったほうが操作しやすいか、左手で打ったほうが操作しやすいかということが異なります。電卓・計算機のキー配列は、電卓メーカーによっても、同じメーカーでも機種によって、多少異なります。 よく使うキーの【C】・【AC】が左に来ている電卓・計算機は右手打ち用、【C】・【AC】が右にきている電卓・計算機は、左手打ちに向いていると言われています。
したがって、右手打ちをされる人には【C】・【AC】が左にきている電卓・計算機をおすすめしますし、左手打ちをされる人には、【C】・【AC】が右にきている電卓・計算機をおすすめします。
また、電卓を利き手と反対の手で打つことができれば、利き手で鉛筆を持ち解答をすばやく書くことができると言われています。訓練によって利き手の逆の手で打つこともできるようになるそうです。 簿記検定試験会場でも、沢山そういう方を見かけました。
私は、利き手で電卓を打ち、利き手で解答を書きましたが、日商簿記1級にも合格することができました。ですから、どうしても電卓を使う手を利き手と反対の手にしなければならないということではありません。 しかし、左手で電卓・計算機が打てるのは、正直言って羨しいです。
ご自分が、どちらの手で、電卓・計算機を打つのかということも考慮に入れて、お好みのキー配列の電卓・計算機を選んで下さい。今後、キー配列の異なる電卓・計算機に変更をされますと、慣れないため、しばらくは計算スピードが落ちる可能性があります。電卓・計算機選びにとって、大切なポイントだと思います。
3. 早打ち機能
Ⅰ. キーロールオーバー機能
キーロールオーバー機能とは、電卓の早打ちを助ける機能です。電卓のみでなく、パソコンのキーボードでも使われている機能です。電卓のキーやパソコンのキーボードなどを、早打ちするときに、一つのキーを放し終わる前に、次のキーを押す状態になりますが、キーを押された順番に認識してくれる機能のことです。このキーのおかげで、打ち間違いと認識されないで済みます。
現在の電卓には、2キーロールオーバーと3キーロールオーバーの機能を備えたものがあります。2キーロールオーバーとは、2文字までは同時に押されても順番を認識できる機能ということです。同様に、3キーロールオーバーとは、3文字までは同時に押されても順番を認識できる機能ということです。
簿記3級までなら、この機能がなくても対応できないこともないですが、級が上がれば、電卓を打つスピードは当たり前のように早くなっていきます。キーロールオーバー機能がないと、計算ミスを引き起こしかねません。絶対必要な機能です。勿論、今から買うなら3キーロールオーバーがおすすめです。
※自分の電卓が何キーロールオーバーなのか確認する方法
1・2・3と、順番に(前のキーを放さないで)押します。ディスプレイに、1・2・3と表示されれば、3キーロールオーバーです。 ディスプレイに、1・2または1・3と表示されれば、2キーロールオーバーです。
Ⅱ. 高速早打ち機能
1分間に20回の入力ができる機能です。SHARPさんの電卓の一部の機種についている機能です。高速早打ち機能もおすすめです。
4. サイレントタッチキー
電卓のキーをタッチする音が静かである機能です。図書館で勉強するときや、検定試験受験でも、他の人の迷惑にならないようにキータッチの大きな音は避けたいものです。サイレントタッチキーの電卓・計算機をおすすめします。
5. キーの形
電卓・計算機メーカーが、それぞれの工夫を凝らし、入力をしやすいようにしています。メーカーごとにキーの形を紹介していきます。
Ⅰ. CASIO
人間工学に基づき、凹状のキーと凸状のキーという異なる形の電卓・計算機キーを作成し、指の動きに合わせて、電卓・計算機キーの配列ごとに、形を変えています。キーの表面を滑らかに仕上げ、指になじみやすくしています。さらに、時間がたっても数字が消えないように、2色のプラスチックで電卓・計算機のキーが成形されています。
Ⅱ. SHARP
電卓・計算機には、シリンドルカルキーとスカルプチャーキーが採用されています。シリンドルカルキーとは、指が動かしやすく隣のキーに間違って触れたりしにくいように、キーの表面にカーブをつけ、中央を窪ませた電卓・計算機のキーのことです。パソコンのキーボードにも採用されていました。スカルプチャーキーとは、キーの配列全体を湾曲させ、指の動きをスムーズにさせる電卓・計算機の機能です。こちらもパソコンのキーボードに採用されていました。 さらに、電卓・計算機のキーは、2色のプラスチックで成形されています。キーを酷使しても文字がすり減って見えなくなるということがありません。
Ⅲ. Canon
フラットキー・凹型傾斜キー・凸型ラウンドキーという3タイプのキーを、電卓・計算機のキーの配列ごとに配置して入力ミスをなくす工夫をしています。
その他の電卓・計算機の機能
1. 桁数
事務用の電卓・計算機は、12桁のものが標準的です。事務用の電卓・計算機は、12桁の他に10桁と14桁の電卓・計算機が発売されています。桁数が小さすぎると、使いにくいですし、桁が大きすぎると見にくくなります。簿記経理のお仕事にも、簿記検定試験にも、12桁の電卓・計算機を選ぶことをおすすめします。因みに、12桁は億の単位まで計算できる桁数です。
2. GT機能(グランドトータルキー)
GTとは電卓上で、計算結果を集計できるキーです。GT機能のある電卓・計算機をおすすめします。
3. メモリー機能
メモリー機能とは、【MR】・【M+】・【M-】などのキーです。計算結果を電卓に記憶させておくことができます。減価償却などの計算項目が少し多い計算を行う時に非常に便利な機能です。このキーは、とても大事な機能です。メモリー機能のある電卓・計算機をおすすめします。
簿記用の電卓・計算機を選ぶための3項目
電卓・計算機を選ぶには、大まかに3項目を、考えると良いと思います。
1. 値段
簿記経理のプロや簿記検定で使用する電卓・計算機のお値段は、2,000円前後くらいの電卓・計算機と、5,000円弱からその上の金額の電卓・計算機の二択で考えると良いと思います。簿記検定3級までの受験しか考えないのであれば、2,000円くらいの電卓で十分です。しかし、長く使用することをお考えでしたら、5,000円弱からその上の金額の電卓・計算機をお勧めします。また、簿記検定2級以上を受験するのでしたら、5,000円弱~10,000位の金額の電卓・計算機を選ぶことをおすすめします。
2. 右打ち・左打ち(キー配列)
右打ちにするか、左打にするかによって、キーの配列が異なります。定数計算のキーを押す順番も異なります。どのメーカーの電卓・計算機を選択するのかということは、十分に検討して下さい。とても大切です。
3. 大きさ
条件を満たす電卓・計算機の候補の中から、手になじむ大きさやキータッチなどご自分の好みのものを選ぶのが良いでしょう。
簿記用の電卓・計算機おすすめランキング
電卓・計算機の世界も、調べれば調べるほど、電卓・計算機を作る人たちのこだわり・技術力・努力が感じられ、改めてモノづくり日本のすばらしさを実感しました。これまで見てきた特徴を備え、かつ簿記検定にもおすすめの電卓を、以下ランキング形式でご紹介致します。 素晴らしい電卓・計算機は沢山ありましたが、人気と定評のある電卓の中から、私の好みで順位をつけさせていただき、おすすめランキング1位~5位までご紹介させていただきました。
1. ランキング「1位」 SHARP 学校用電卓 EL-G37
おすすめランキング1位は、SHARP 学校用電卓 EL-G37です。
機種 | SHARP EL-G37 |
---|---|
大きさ | 奥行18.1cm×幅11.2cm×高さ3.5cm |
重さ | 290g |
税計算機能 | 有り |
時間計算・日数計算機能 | 有り |
傾斜表示タイプ | 有り |
サイレントタッチキー | 該当 |
キーロールオーバー機能 | 2キーロールオーバー |
高速早打ち機能 | 有り(1秒間に20回入力可 |
桁数 | 12桁 |
値段 | 6,150円(税込) |
色 | 黒とシルバーの混合1色のみ |
2. ランキング「2位」 CASIO スクール電卓 AZ-26S
おすすめランキング2位は、CASIO スクール電卓 AZ-26Sです。
機種 | CASIO AZ-26S |
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大きさ | 奥行175cm×幅107cm×高さ24cm |
重さ | 210g |
時間計算・日数計算機能 | 有り |
電池 | 太陽電池と補助電池の併用 |
サイレントタッチキー | 有り |
桁数 | 12桁 |
GT機能 | 有り |
値段 | 9,800円(税込) |
色 | シルバー |
3. ランキング「3位」 CANON HS-1220TUG
おすすめランキング3位は、CANON HS-1220TUGです。
機種 | CANON HS-1220TUG |
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大きさ | 奥行cm×幅cm×高さcm |
時間計算・日数計算機能 | 有り |
チルトディスプレイ機能 | 有り |
高速早打ち機能 | 有り |
桁数 | 12桁 |
メモリー機能 | 2メモリー |
値段 | 1,880円(税込) |
色 | グレー1色 |
電卓・計算機の使い方
電卓・計算機は、メーカーによってキーの配列が違うだけでなく、定数計算を行う時に押すキーの順番が異なります。
定数計算とは、同じ数字に対して複数の数字が、×(かける)+(たす)などの同じ計算処理を繰り返し行う計算のことをいいます。
日商簿記1・2級の原価計算などには、この操作を行うことによって、圧倒的に計算スピードに差が出ます。キーの操作順番を体で覚えなおすのはかなり大変です。
実際には、CASIOの定数計算のキーを打つ順番が、SHARPとCanonとは異なります。定数計算の例を挙げておきました。
1. 掛け算
850×20、850×18.5、850×16という計算を行う時
Ⅰ. CASIO
850××20=17,000 18.5=15,725 16=13,600
Ⅱ. SHARP・Canon
850×20=17,000 18.5=15,725 16=13,600
2. 割り算
300÷5、450÷5、500÷5 という計算を行う時
Ⅰ. CASIO
5÷÷300=60 450=90 500=100
Ⅱ. SHARP・Canon
300÷5=60 450=90 500=100
3. 足し算
20+2=、25+2=、30+2=という計算を行う時
Ⅰ. CASIO
2++20=22 25=27 30=32
Ⅱ. SHARP・Canon
20+2=22 25=27 30=32
4. 引き算
20-2=、25-2=、30-2という計算を行う時
Ⅰ. CASIO
2–20=18 25=23 30=28
Ⅱ. SHARP・Canon
20-2=18 25=23 30=28
この様に、キーの配列も、定数計算のキー入力方法も異なりますので、CASIO・SHARP・Canonは一度選んだら、次に他のメーカーの機種に変更するときは、慣れるのに時間がかかるという事を覚悟して下さい。なお、キー操作については、それぞれの電卓・計算機の説明書に書いてありますので、参考にして下さい。
日商簿記検定で使用が禁止されている電卓・計算機
日商簿記検定で使用が禁止されている電卓・計算機については、下記のページをご覧下さい。