簿記の難易度
日商簿記検定の各級の難易度や合格率はどのくらい?
日商簿記検定は、年齢や学歴などの受験資格は特に設けられておらず、誰でも受験できます。数多くあるビジネス資格のなかでも比較的挑戦しやすく、取得すれば様々なビジネスシーンにおいて役立つため高い人気を誇る資格です。この記事では、日商簿記検定の難易度や合格率を級ごとに紹介し、望ましい勉強スタイルについても説明します。この記事を読めば、難易度や合格率、そして勉強方法など日商簿記検定について知っておきたい知識を得られるでしょう。
1. 日商簿記の級ごとの難易度
簿記3級は、商業簿記のみ問われます。一般的な商品売買に関わる会計処理の知識が必要ですが、通常の社会生活を送っている人であればイメージするのはそう難しくない内容でしょう。経理に関連する書類の作成に関する知識など、初歩的な実務ができるレベルの内容が含まれます。合格するのに必要な得点は100点満点中70点以上で、平易な難易度です。簿記2級では、商業簿記の範囲が簿記3級よりも広くなることに加え、新たに工業簿記が試験科目に入ります。合格には財務諸表の数字を読み解けるレベルが必要です。簿記3級同様に、100点満点中70点以上の得点で合格となります。簿記3級に比べ難易度は高くなります。 簿記1級は税理士や公認会計士などの国家試験を受ける人の登竜門とも呼ばれる試験です。難易度の高い国家資格レベルの知識が必要となります。試験科目も商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目まで増えます。簿記検定なかでは最難関とされ、相当高い難易度です。
2. 日商簿記の級ごとの合格率
日商簿記検定の級 | 簿記3級 | 簿記2級 | 簿記1級 |
---|---|---|---|
合格率 | 40%~50% | 15%~30% | 約10% |
日商簿記検定の合格率は、比較的易しいレベルの簿記3級で40%~50%前後、それより試験範囲の増える簿記2級で15%~30%前後です。簿記3級と簿記2級では試験時間は120分と変わりません。ところが、簿記2級は簿記3級よりも出題範囲が広くなり求められる専門知識の量も増えます。そのため、難易度が跳ねあがり、合格率がかなり下がるのです。
簿記1級ともなると出題範囲は4科目に増えるほか、大企業の経理でも通用するレベルの高度で専門的な知識が求められるようになります。そこで、合格率は平均で10%前後まで下がります。全体で70点以上得点していても10点未満の科目が1つでもあると不合格になるため、不得意科目を作らず満遍なく点を取ることも必要です。そのため、難易度が格段に高くなります。
3. 簿記の勉強に必要な時間
日商簿記検定の級 | 簿記3級 | 簿記2級 | 簿記1級 |
---|---|---|---|
勉強時間 | 60時間~80時間 | 150時間~200時間 | 500時間~600時間 |
試験に合格するためにどれくらいの勉強時間が必要かは、気になるところでしょう。級ごとに必要な勉強時間は、簿記に関して多少なりとも知識を持っているか、実務経験が有るかといったことでも変わりますが、目安となる数値はあります。簿記3級に合格するために必要な勉強時間の目安は、60時間~80時間程度です。ただし、これには個人差があります。一般に、1ヶ月~3ヶ月の学習期間が必要と言われていますので、初心者の場合、確実を期するためには、1日1時間勉強するとして、3ヶ月程度の学習期間を確保することが望ましいでしょう。
簿記2級は簿記3級に比べるとぐんと難易度があがります。商業簿記に加え、工業簿記の学習も必要です。そこで、一般には150時間~200時間は勉強することが望ましいとされています。学習期間としては3ヶ月~6ヶ月は確保したいところでしょう。ただし、個人差があるため、この数値はあくまで目安です。
最も難易度が高い簿記1級は一般に理解するのが難しい難解な問題が数多く出題されます。限られた時間内に正確に解答するためには、少なくとも500時間~600時間又はそれ以上の勉強時間が必要です。最低でも6ヶ月~1年の学習期間が必要となります。
4. 日商簿記の級ごとの試験内容と試験日
簿記3級の試験は、例年6月第2日曜日・11月第3日曜日・2月第4日曜日に実施されます。商業簿記のみ問われ、試験時間は120分です。100点満点のうち70点以上得点すれば合格できます。
簿記2級の試験の実施日は、簿記3級と同様です。商業簿記のほか、原価計算などを含む工業簿記が出題されます。試験時間は120分です。商業簿記60点・工業簿記40点で合計100点となり、2科目合わせて70点以上得点すれば合格できます。
簿記1級の試験が実施されるのは、例年6月第2日曜日と11月第3日曜日です。2月は実施されません。他の級よりも1回少ないため注意しましょう。試験時間は商業簿記・会計学で90分、工業簿記・原価計算で90分の合計180分です。各科目の配点は25点ずつ合計100点満点で、4科目合わせて70点以上取る必要があります。ただし、前述の通り、合計で70点を超えていても、1つでも10点未満の科目があれば不合格となります。
5. 簿記の勉強をする時に大切なポイント
簿記検定は70点以上取りさえすれば合格できますので、いかに点を稼ぐかが重要です。簿記検定の合格率は試験回の難易度によって大きく変動することがあるため、参考程度に留めると良いでしょう。例えば、簿記3級の合格率は、近年は概ね40~50%で推移していますが、20%台まで下がった回もあります。合格率を気にするよりも、基本的な知識をしっかり理解して身につけることが大切です。簿記検定は、知識があやふやなまま学習を続けたりしても合格は望めません。簿記の知識を自分のものとするためには、単に暗記するのではなく簿記の全体的な仕組みや流れを理解したうえで練習問題を繰り返し解くことが必要です。
6. 勉強スタイルごとのメリット・デメリット
簿記検定の勉強をするには、独学とスクールで学ぶ方法とがあります。この段落では、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
Ⅰ. 独学で簿記の勉強をするメリット・デメリット
簿記のテキストは様々な種類が市販されています。難易度の低い簿記3級であれば、市販のテキストを購入して独学し合格することも難しくはありません。独学する最大のメリットは、勉強にかかる費用が安く済むことです。スクールに通うと簿記3級講座で数万円かかることも珍しくありませんが、市販のテキスト・問題集・過去問を購入して学べば数千円程度で済みます。周囲を気にすることなく、自分のレベルに合わせてマイペースに学習を進められることもメリットです。仕事が忙しいときは勉強量を減らすなど、調整することも簡単にできます。
独学によるもっとも大きなデメリットは、簿記の本質的な知識を正確に理解できない恐れがあることです。どの知識がどう関連しているのか、全体の流れをしっかり理解することが必要となります。ところが、簿記に詳しい講師から指導が受けられない独学では、全体の流れが理解できていないまま学習を進めてしまう可能性があるのです。難易度の上がる簿記2級や簿記1級になると理解できないところも出てくるようになりますが、これを自力で解決しなければなりません。途中でつまずき、解決の方法も分からないとなると、そのまま挫折してしまう可能性があります。
独学は自分をしっかり律することが必要です。必要な勉強時間を確保するためには、遊びや飲み会の誘いを断るなど自制しなければなりません。これができず、学習を進められなくなって挫折する人もいます。
Ⅱ. スクールで簿記の勉強をするメリット・デメリット
簿記講座を開講しているスクールは数多くあります。資格取得に特化したスクールでは、簿記に関して深い知識を持つ講師が要点を押さえた指導を行います。そのため、独学と比べて圧倒的に効率良く学べ、簿記をしっかり理解できることが最大のメリットです。分からないことがあっても講師に聞いてすぐに解決できるため、途中の挫折も防げるでしょう。知っておくと良い試験テクニックを教わることもでき、難易度の高い試験でも合格に近づけます。
大きなデメリットは独学に比べると費用がかかるという点です。しかし、プロのサポートを受けて難易度の高い知識を効率的に習得できることを考えると、必要経費と言えます。独学で合格するまで何年もかかってしまうより、費用をかけても最短時間で合格できるほうがその後のメリットも大きいでしょう。
効率良く合格を目指すならスクールがおすすめ
数ある資格のなかでも、簿記はビジネスに活かせる価値ある資格です。経理の仕事ではなくても、簿記の知識はビジネスを考えるうえで役立ちます。簿記の資格を取得すれば、スキルアップやキャリアアップが目指せ、収入の向上にもつながるでしょう。級が上がるほど難易度も高くなりますので、確実に合格するためには根本的な理解が必要です。効率良く合格を目指すなら、スクールで学ぶことが望ましいでしょう。