簿記2級の合格率
簿記2級の合格率は低い?その理由と攻略法を紹介!
これから簿記2級を受けようとしている人の中には、合格率が低いことが気になる人もいるでしょう。簿記2級の合格率が低い理由が分からなければ、落ち着いて勉強に集中できないかもしれません。ここでは、簿記2級の合格率は本当に低いのか、過去のデータを基に検証します。簿記2級は勉強次第で誰でも合格可能性がある資格である一方、資格取得がそれなりに難しい理由もあわせて説明するので、効果的な試験対策を講じて合格を目指して下さい。
1. 簿記2級の合格率は本当に低い?
過去の日商簿記検定の合格率を見ると、確かに簿記2級の合格率は低くなっています。日商簿記検定試験は全部で5種類あります。いずれも合格率が発表されているので、おおよその合格率を確認してみましょう。取得が簡単なものから順に合格率を並べてみると、原価計算初級が9割程度、簿記初級が5~6割程度、簿記3級が4~5割程度、簿記2級が1.5~3割程度、簿記1級が1割程度となっています。簿記3級と簿記2級を比べたときに、かなり合格率が低いことが分かるでしょう。
簿記2級は、簿記3級と比べるとより就職・転職活動の際に有利に働く資格です。商業簿記に加えて、工業簿記の知識や計算方法が必要となるのも簿記2級の特徴と言えるでしょう。なお、簿記2級の合格率の推移に注目すると、受験した回によってばらつきが大きいことが分かります。難しければ合格率は1割程度ですが、中には5割近くまで上がった回もあります。難易度のばらつきが大きいことも、受験者を悩ませる要因の一つと言えるでしょう。
2. 簿記2級の合格率はなぜ低い?
簿記2級の合格率が低い理由について、工業簿記や試験範囲の改定などにふれつつ紹介します。
Ⅰ. 簿記2級の合格率が低い理由1:工業簿記の出題
簿記2級の合格率が低い理由として、工業簿記の出題が挙げられるでしょう。簿記3級では商業簿記のみが出題範囲でしたが、簿記2級からは新たに工業簿記が出題されます。配点は100点満点中、商業簿記が60点、工業簿記が40点で、合計で70点以上をとれば合格となります。商業簿記のほうが配点は多いといっても、全く工業簿記ができないと合格できません。工業簿記が難しい原因の一つに、使われる用語に馴染みがないことが挙げられます。商業簿記であれば、用語を聞いただけでイメージしやすいものが多いでしょう。一方、工業簿記の用語には、製造業を経験したことがなければイメージしにくいものが多くなっています。
工業簿記が難しい原因として、計算過程が複雑であることも挙げられます。例えば、1つの商品を作りあげるのに必要なお金を計算する「原価計算」を例に出して説明しましょう。原価を下げることが利益の拡大につながるため、原価計算は非常に重要です。ただし、原価計算をするには材料費だけではなく、労務費や経費も考慮せねばなりません。チェックすべき費用の流れは、商業簿記とは大きく異なります。製造業全体の流れを理解しないと、工業簿記の問題を解くのは難しいでしょう。
Ⅱ. 簿記2級の合格率が低い理由2:勉強不足
簿記2級の合格率が低い理由として、勉強不足が挙げられます。簿記2級は商業簿記の出題が6割なので、商業簿記の勉強に注力してしまう受験者も多いです。工業簿記の難しさに気がついたときには、試験直前だったという人もいるでしょう。また、誰もが簿記2級の勉強ばかりに時間をさけるわけではありません。資格取得を目指しつつ会社勤めをしている人もいれば、育児や家事の合間に勉強をする主婦もいます。スケジュールに沿った勉強時間が確保できず、そのまま試験日を迎えてしまう場合もあります。
最近の簿記2級の試験データを見ると、申込んだ人は約55,000人、そのうち、実際に試験を受けた人は約42,000人でした。約10,000人が、何らかの理由で試験を辞退しています。辞退した理由の一つとして、勉強が間に合わなかったことが考えられるのではないでしょうか。なお、「工業簿記が難しすぎるので、このままではほぼ受からない。」と感じても、せっかく申込んだのだからと試験を受けてしまう人もいます。このような人が試験を受けてしまうことも、合格率に影響すると言えるでしょう。合格率は実際に試験を受けた人のうち、合格した人の割合を意味します。したがって、勉強不足の人が多く受験するほど、合格率は下がってしまいます。逆にしっかり勉強時間を確保して受験すれば、簿記2級は十分合格できる試験と言えます。
Ⅲ. 簿記2級の合格率が低い理由3:試験範囲改定への対応不足
簿記2級の合格率が低い理由として、試験範囲改定への対応不足も挙げられます。簿記2級の試験範囲は頻繁に改定されています。簿記2級に初めて挑戦する人であれば、改定された試験範囲を見ても、あまり内容が理解できないかもしれません。改定後の試験範囲に合わない古いテキストを使っていたり、簿記3級を受験して合格したから要領が分かっていると油断したりして、試験に落ちてしまう人もいるでしょう。また、試験範囲改定前に慌てて受験する人も、合格率に影響を与えると考えられます。
3. 合格率が低い簿記2級を取得するには?
合格率が低い簿記2級を取得するための対策について説明します。スケジュールをしっかり立て、テキストや過去問で効果的に勉強しましょう。
Ⅰ. 合格率が低い簿記2級への対策1 : 勉強時間の確保
合格率が低い簿記2級に向け、余裕を持ったスケジュールにより十分な勉強時間を確保することが重要です。まず、合格するために必要な勉強量を確認しましょう。つい最近簿記3級に合格したという人であれば、商業簿記の基礎知識が身についていると思われます。より深く商業簿記を学び、新しく工業簿記を勉強するためには、150時間程度の勉強量が必要となります。
一方、簿記3級の合格から時間が経過している人であれば、勉強時間を200時間程度と考えておいたほうが良いでしょう。簿記の基礎を再度学習するために、およそ50時間程度余分に学習時間を要するという計算です。
過去に簿記3級に合格していても、合格から期間が空いていれば、知識の薄れ、解答スピードの低下が懸念されます。試験範囲の改定も考慮すべきです。試験を久しぶりに受けるという人は、一から勉強し直すつもりで、十分な勉強時間を確保することをおすすめします。また、テキストを読んで内容を理解するだけでは十分な対策とは言えません。簿記2級ではより複雑な計算を素早く解く必要があるので、問題演習は必須です。
Ⅱ. 合格率が低い簿記2級への対策2 : テキストにこだわる
合格率が低い簿記2級への対策として、テキストにこだわることも重要です。改定が頻繁に行われる簿記2級なので、最新のテキストを使うようにしましょう。また、工業簿記の部分をスムーズに勉強するには、イラストや図が多いテキストが適しています。聞きなれない製造業に関する用語も、イラストや図を見れば理解しやすくなるでしょう。また、練習問題がついていたり、試験で早く解答するためのテクニックが載っていたりするテキストがおすすめです。もし、テキストに載っている問題が少ないと感じれば、問題集を別に用意して練習したほうが良いでしょう。簿記2級では講義動画がセットになったテキストもあります。一人でテキストを読むより、授業形式のほうが効率良く勉強できる人もいます。最新のテキストの中から、自分が使いやすいテキストを選び、勉強するようにしましょう。
Ⅲ. 合格率が低い簿記2級への対策3 : 過去問を解く
合格率が低い簿記2級への対策として、過去問で出題傾向を押さえることも重要です。簿記2級の出題は大きく5問で、第1問目は仕訳に関する内容がほぼ毎回出題されています。第2問目は個別論点となっており、第3問目は財務諸表、精算表(連結精算表を含む)に関する出題が多いです。ここまでが、商業簿記です。第1問目の仕訳に習熟すると、他の問題も早く解けるようになるので、仕訳対策は欠かせません。
第4問目、5問目は工業簿記から出題されます。材料費計算・労務費計算・経費計算・実際原価計算・予定原価計算・個別原価計算・総合原価計算・全部原価計算・直接原価計算・費目別計算・部門別計算・製品別計算・標準原価計算(パーシャルプラン・シングルプラン)・損益分岐点分析などが試験範囲となります。範囲が広い分、どこから出題されても良いよう、弱点が無いように勉強しましょう。なお、試験範囲改定後は過去問そのままではなく、理解を試すようなひねりの効いた問題が出題される傾向です。問題文が長い出題も増えているので、落ち着いて取り組みましょう。
4. 合格率が低くても大丈夫!簿記2級は工業簿記攻略がポイント!
簿記2級の合格率は、簿記3級の合格率と比べると低いです。簿記2級で初めて登場する工業簿記の難しさに加え、試験範囲の改定なども合格率に影響していると言えるでしょう。合格率が低い簿記2級に合格するには、出題傾向を把握し、十分な勉強時間を確保することが大切です。独学で勉強する人もいますが、大手資格試験予備校の簿記2級講座も非常に役立ちます。一度申込みを検討してみてはいかがでしょうか。