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簿記検定試験の併願

日商簿記検定試験の各級の併願

1. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願

日商簿記2級と日商簿記3級の併願は可能なうえ、学習時間さえ確保できれば、日商簿記2級と日商簿記3級を同時に合格することも十分可能です。ただし併願することについては賛否両論あります。そこで併願のメリットとデメリットを考えてみました。

Ⅰ. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願のメリット
a. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願のメリット1

日商簿記2級と日商簿記3級を併願することで簿記資格取得のための時間を節約できます。例えば、学生さんが就職活動開始までの期間に簿記資格を取得しようと考えていらっしゃるなら、集中して勉強をして、日商簿記2級と日商簿記3級併願で一発合格を狙うのはお勧めだと思います。日商簿記3級受験後に日商簿記2級を受験する場合、最低でも3ヶ月、長い場合は5ヶ月の期間が開いてしまいます。就職活動開始までに2回の簿記検定受験期間を取れない場合、慣れない就職先で日商簿記2級の受験に取り組むことになりますので、かなり負担が大きいと思われます。

b. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願のメリット2

日商簿記2級も日商簿記3級もきちんと勉強すれば、ほとんどの人が合格できるレベルの検定試験です。しかし、日商簿記2級は日商簿記3級と比較してそれほど簡単に合格できる試験ではありません。日商簿記2級と日商簿記3級の併願となれば、学習範囲の量が増加するため相当な負担がかかってきます。その中で日商簿記2級と日商簿記3級を併願するわけですから、同時合格を得られた時の達成感は、かなりのものとなります。

Ⅱ. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願のデメリット
a. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願のデメリット1

日商簿記2級と日商簿記3級の学習範囲は異なりますので、勉強する範囲も広くなり受験準備にも相当な時間・精神力・体力を必要とします。日商簿記3級と日商簿記2級の併願は、同じ日の午前中と午後に受験するわけですから、長時間の集中をしなければなりません。単純に2倍疲れることになります。したがって、長時間に亘る集中力を養うことは勿論、疲れて集中力が落ちても簿記2級に合格できる実力をつけなくてはなりません。

b. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願のデメリット2

日商簿記2級と日商簿記3級の併願では、学習効果が落ちます。一夜漬けの試験勉強は、身につかなかった経験はありませんか?ある程度時間をかけて学習しないと記憶に定着しないと思います。併願ではなく、日商簿記3級、それから日商簿記2級と段階を踏んでじっくり勉強したほうが、後々成績が伸びて日商簿記2級に合格しやすいです。日商簿記2級と日商簿記3級を併願して合格だけを狙うのは、学習時間さえ確保できれば可能と思います。しかし、合格だけを目指す勉強では中身が伴わない恐れがあります。ある程度時間をかけて頭に定着させないと合格後直ぐに忘れたり、日商簿記1級などの学習の土台にならないことなども考えられます。

Ⅲ. 日商簿記2級と日商簿記3級の併願はすべきか

結論から申しますと、時間的余裕がある学生さんには併願をおすすめします。就職活動時に日商簿記2級を取得していれば履歴書に書くことができます。また、将来税理士や公認会計士を目指すのであれば、早い段階で日商簿記2級までをクリアして、国家試験を目指したほうが良いと思います。
しかし、時間的余裕が無い社会人には併願をおすすめしません。勤務後の疲れた状況での勉強となるうえ、十分な勉強時間が無いのに併願しても理解不足となり、合格できません。社会人でも子育てが一段落して再就職を検討される主婦の方など、フルタイム勤務の人よりは勉強時間をとれる方であれば、併願による日商簿記2級と日商簿記3級の同時合格だけなら、問題を解くことに力を注ぐことで比較的労力少なく合格を狙えるかもしれません。そういう要領も必要ですが、日商簿記の勉強と経理実務が完全に一致するわけではないため、簿記の考え方を自分の身に着けることのほうがさらに重要だと思います。
今、自分が意識していない知識も、潜在意識にとどまり直感や新しく浮かぶ発想に役立つそうです。そのため幅広い教養を身に着けることが再び注目されています。簿記の考え方もある種の教養といえるのではないでしょうか?学習時間を取ることができるのであれば、併願ではなく日商簿記3級・日商簿記2級と段階を追って学習し、確実に合格できるように受験をすることをおすすめします。

日商簿記1級と日商簿記2級の併願

日商簿記1級は、日商簿記2級に比べて非常にレベルが高い試験ですので、日商簿記1級と日商簿記2級の併願は、事実上あり得ません。日商簿記2級合格レベルの人が挑戦するには、日商簿記1級は学習範囲が広すぎて理解できませんので、どのようなものか試しに受けてみる併願には意味がありません。
日商簿記1級合格を目指す人が、日商簿記2級の学習内容にエネルギーを使っている余裕はありません。そもそも、日商簿記1級を目指す人は、すでに日商簿記2級を持っている場合が殆どです。日商簿記2級を持っている人は、日商簿記1級と日商簿記2級を併願しませんよね。

日商簿記1級との全経簿記上級の併願

日商簿記1級合格レベルの人は、全経簿記上級を併願することをおすすめします。万が一日商簿記1級に一発合格できなくても、同レベルの試験である全経簿記上級に合格すれば履歴書に書くことが出来ますし、一定の実力があることが証明されるので、日商簿記1級の再受験に向けて自信になると思います。また、税理士試験の受験資格を得るために日商簿記1級又は全経簿記上級のいずれかに合格する必要がある人は、併願することにより、日商簿記1級又は全経簿記上級の一方の試験に合格すれば他方は合格できなくても税理士試験の受験資格が得られますので、受験時の緊張感も多少は緩和されて合格しやすくなると思います。

公認会計士試験と日商簿記1級の併願

公認会計士試験の受験生の中には日商簿記1級を併願する受験生がいます。公認会計士試験の財務会計論には簿記が含まれていますので、公認会計士試験本番前に本番に近い空気で受験できる模擬試験の一つとして日商簿記1級の試験が利用されています。日商簿記1級に合格すれば履歴書に書けますし、公認会計士試験合格のためのはずみとなります。

公認会計士試験と税理士試験の併願

公認会計士試験の受験生に中には税理士試験の簿記論及び財務諸表論を併願する受験生がいます。税理士試験の簿記論及び財務諸表論に合格することにより、公認会計士試験の短答式試験の財務会計論が免除されるからです。公認会計士試験と税理士試験は共に難関試験ですが、公認会計士試験は一発合格できるとは限りませんので、翌年の受験負担を少しでも軽くするため、公認会計士試験に合格する可能性がある学力の受験生は、税理士試験の簿記論・財務諸表論を併願することをおすすめします。

税理士試験と日商簿記1級の併願

日商簿記1級に合格しなくても大学生で一定の単位を取得している等、既に税理士試験の受験要件を満たしている税理士試験の受験生は、税理士試験の簿記論・財務諸表論と日商簿記1級を併願する必要がないのでおすすめしません。税理士試験の簿記論・財務諸表論は財務会計が中心であり、管理会計に該当する工業簿記や原価計算が出題範囲から除外されているため、工業簿記や原価計算を別途勉強しないと併願しても日商簿記1級に合格できないからです。既に税理士試験の受験資格があるのであれば、税理士試験の簿記論・財務諸表論の合格に向けた勉強に集中しましょう。財務会計に関して税理士試験の簿記論・財務諸表論は日商簿記1級よりも難易度が高いといえます。

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