簿記の意味
簿記の意味とは?初心者に分かりやすく簿記の意味を解説!
簿記の意味を簡単に説明すると、企業の取引などで発生するお金の流れを記録し、正確に計算して明瞭に表示するための計算技術のことです。簿記の目的は、ビジネスパーソンの基礎知識とも言える財務諸表の作成です。しかし、これから簿記を学ぶ初心者には、理解が難しいことも多いでしょう。そこでこの記事では簿記の意味について触れ、さらに、知識を深める方法なども分かりやすく紹介します。
1. 簿記の意味を辞書で調べてみると
簿記は、経済活動で生じた結果を正確にはっきりと表示します。企業などが営業活動を行うことによって起こった財産や資本の変動などを貨幣価値で測定して帳簿に記録し、それを計算してまとめた明確な書類を作るわけです。その際、取引で発生した収入や支出は、一定のルールに基づいて記録されたり管理されたりすることになります。こうした一連の作業を一定期間行ってから総括し、発生した損益や財産の増減を財務諸表としてまとめます。 13世紀初頭から14世紀末にかけて商業が発達し、18世紀後半から19世紀前半の産業革命を経るうちに、簿記は発達を遂げることになりました。元々は帳簿に書き記すことが基本だった簿記も、企業の規模が大きくなるにしたがって進歩する必要性が出てきたからです。通常では、簿記といえば営利企業の簿記のことを意味します。そして、適用される業種ごとに、さらに分類されます。一般的な簿記の種類としては、商業簿記、工業簿記、銀行簿記、農業簿記などが挙げられ、公官庁やなどで利用されるのが公会計です。
2. 簿記でやることは仕訳と転記と財務諸表の作成
企業の経済活動における日々の取引のデータを会計帳簿に記録し、最終的に、年1回の決算時に財務諸表を作成するまでの一連の作業のことを簿記一巡といいます。簿記一巡の流れですが、まず、日々発生している取引の仕訳を行います。次に、仕分けを、発生した順番に仕訳帳に記録していきます。仕訳帳に記録した内容を、今度は、総勘定元帳に転記します。ここまでが、日々の手続きです。もちろん、必ずしも取引が発生した日のうちに作業を行う必要はなく、一定期間まとめてから仕訳帳への記録と、総勘定元帳への転記が行われるケースもあります。 決算期を迎えると、その都度、勘定をまとめて残高試算表を作成します。残高試算表は、仕訳帳の転記について検証するために必要になる表のことです。総勘定元帳のデータを集計し、勘定口座の残高を計算して表にまとめます。その後、期間中に起こった損益計算を、適正におこなうための修正作業として決算整理を行います。その際には、決算整理仕訳が追加され、財務諸表が作成されるという流れになります。
3. 財務諸表とは
簿記の最終目的は、その年の財務諸表を作成することです。財務諸表は企業で発生した1年間の取引をまとめたもので、貸借対照表や損益計算書があります。この二つの書類から、企業における運営状況を読み取ることが可能です。この段落では、互いに密接に関連している貸借対照表と損益計算書についての詳しい説明を行います。
Ⅰ. 貸借対照表の意味
貸借対照表は、ある企業における決算日の財政状態を報告する書類です。バランスシートという名称で呼ばれることもあります。貸借対照表を読むと、その企業の決算日における資産や負債、そして純資産の状況について把握することが可能です。貸借対照表は3つの部から構成されています。表は左右二つに分けられており、向かって左側には資産の部が記入されています。資産は文字通り、会社が所有している資産のことです。右側の部分は上下二つに分割され、そのうちの上部には負債の部が記されています。負債は、会社が返済しなければならない金額のことです。右側下部は純資産の部です。総資産から負債を差し引いて、残った金額が純資産になります。純資産として算出された金額からの返済義務はありません。
Ⅱ. 損益計算書の意味
損益計算書を読むと、一事業年度の経営成績が分かります。損益計算書に書かれているデータは、大きく分けると収益、費用、純利益の3つです。つまり、いったいどのくらいの収益を上げられたのか、そして、その収益を得るためにどのくらいの費用を使ったのか、収益から費用を差し引いた純利益はどのくらいなのかがまとめられています。収益は企業に入ってくるお金のことですが、売上高、営業外収益、特別利益に分類されます。売上高は営業収益とも呼ばれ、その会社が本業にしている営業活動から得られた利益のことです。 それに対して営業外収益は、利息や配当などといった本業以外の営業活動から入ってきたお金です。営業利益から、営業活動以外から発生した収益や費用を引いたものは、経常利益として表されます。さらに、利益には税引前当期純利益という項目もありますが、これは経常利益から特別利益や特別損失を加減したものです。そして、全ての経営活動の結果となるのが当期純利益です。当期純利益を算出するためには、税引前当期純利益から法人税、住民税、事業税などを差し引きます。
4. 5つの要素の意味を理解すれば簿記が理解できる
簿記を理解するためには、基本となる5つの要素の意味をしっかりと押さえておくことが重要です。資産、負債、純資産に、収益と費用を加えた5つについて分かっていれば、簿記を理解することが可能になります。 資産は企業活動に必要なものや権利のことで、現金預金に加え、売掛金や商品なども含まれます。負債は買掛金や借入金などで、返済の義務があるお金です。純資産は出資金や利益を意味し、事業を運営するための元手になります。そして、収益とは企業が活動して得たお金であり、費用は収益を上げるために使ったお金のことです。こちらの段落では、それぞれの言葉の意味を財務諸表と突き合わせながら説明していくことにしましょう。
Ⅰ. 貸借対照表を構成する資産・負債・純資産
資産、負債、純資産の3つの要素は、貸借対照表の構成に関わる言葉です。貸借対照表からは、決算日における会社の資産や負債、さらに、純資産の残高について読み取ることができます。そのため、銀行や株主は、貸借対照表を見れば財政状態を把握することが可能です。純資産は資本金や繰越利益剰余金など、株主からの出資やその企業が過去に稼いだ利益ですが、自己株式の様に純資産のマイナス項目もあります。
Ⅱ. 損益計算書を構成する収益・費用
会社で発生した取引の中で、一事業年度の収益と費用に関わるデータをまとめて作成したものが損益計算書です。損益計算書からは営業状況を把握できるとともに、経営成績についても知ることが可能です。利益の内訳について書かれているので、どのような活動で収益が出ていたのかがはっきりと分かります。その会社が、本業で稼ぐことができた金額を示しているのは売上高です。また、損益計算書を基にして計算すると、利益率などを把握することもできます。たとえば、会社が本業どれだけ稼ぐことができたのかという指標となる売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割った数値に100をかけると算出できます。この数値が高ければ高いほど、その期間の業績が良かったということになります。
5. 財務諸表の意味を理解して簿記を学ぼう
簿記の知識を深めて財務諸表が読めると、会社の経営状況が分かるようになります。つまり、簿記の基本スキルを得ることは、ビジネスパーソンとしての一般常識が身につくことです。簿記3級を学ぶと、こうした大きなメリットを得ることができます。「日商簿記3級独学教室」では用語説明や練習問題も用意されているので、初心者でも気軽に学び始めることができるでしょう。