役立つ資格「簿記」
簿記は本当に役立つ資格?取得するメリットを知ろう!
資格と言っても様々なものがあります。職業によって必ず必要な資格も存在しますし、取得していることで就職や転職に役立つことも多いものです。中でも簿記は持っていても損はないと言われている資格の一つで、耳にすることも多いでしょう。そこで、実際にどれくらい役立つのか、簿記を取得するメリットや証明できるスキルなどについて解説していきます。
1. まずは簿記検定の概要を紹介!
簿記は、日本商工会議所が実施しているもので「日商簿記検定」が有名です。全国の商工会議所での受験が可能なため、簿記と言えばこの「日商簿記検定」を受ける人が多いでしょう。資格には国家資格と公的資格、そして民間資格がありますが、簿記は公的資格です。公的資格とは、省庁によって認められている資格のことを指します。資格の種類はどこで認定されているかで異なり、国家資格は国が、そして民間資格は民間の企業が認めている資格のことです。簿記は経理業務で非常に役立つため、公務員も取得している人が多く、そのため国家資格と誤解する人もいますが間違えないようにしましょう。種類の違いはあっても、持っていると役立つ資格であることに変わりはありません。
簿記には1〜3級、そして初級が用意されており、それぞれに難易度が異なります。初級はもっとも受験しやすいですが、商業高校で学ぶのが2〜3級のレベルであることから、初めて簿記を受験する人で多いのは3級です。実際には受験資格に制限は設けられておらず、性別や国籍はもちろん年齢や学歴などに関係なく自由に挑戦できます。資格の中には初級から受験して実務経験を積んでいくものもありますが、簿記は自分の学力に合わせた受験が可能です。十分勉強して自信をつけていれば、3級や2級から受験する人は少なくはありません。もちろん、いきなり1級を受験することも可能なのです。
簿記は、経理に役立つ基礎知識力をどれくらい持っているかを測るための資格で、経理系の中では知名度が高い資格と言えます。初級なら小売店のような小規模事業所での経理に役立つうえ、3級を持っていれば青色申告の書類作成などができ、中小企業での経理業務に役立つと言えます。2級になれば財務諸表をもとに企業の財政状態を読み解くこともできるようになります。1級ともなれば大手企業の就職も難しいことではありません。1級は難易度が高いことから、税理士や公認会計士を受験するための登竜門と言っても良いでしょう。というのも、税理士試験の受験資格の一つに日商簿記検定の1級に合格できていることが含まれているためです。(簿記1級を取得していなくても他の受験資格を満たしている場合、税理士試験を受験できます。)公認会計士を受験する場合は簿記の1級を取得している必要はありませんが、公認会計士自体が難易度の高い資格のため、まず日商簿記検定の1級を取得できていることが自信につながります。
2. 簿記検定で身につくスキルとは?
個人商店を経営する場合、商品を仕入れて販売し、そこから利益を得るということが基本です。もちろん、必要な経費の捻出も考えなくてはなりません。簿記の初級と3級を取得すると、個人商店や小規模の企業における経理をするうえで役立つスキルを身につけることができます。具体的には、仕入れに関わる一連の記録から計算方法、決算書の作成といったことです。経理に役立つ基本的なスキルを身につけたいなら、初級や3級を取得しましょう。家族で店舗経営を始める場合や異業種から経理の仕事を目指したい人は、基礎とも言える初級又は3級を受験してみると良いでしょう。
2級になると、基礎的な部分に加えて商業簿記や原価計算を含めた工業簿記といったより高度な内容を学ぶことになり、それによって経営分析の理解に役立つスキルが身についてきます。2級を取得できれば個人商店といった小規模なものではなく、もっと上の中小企業や大企業への就職も可能です。事業が大きくなれば支店や子会社などもできますし、上場する企業も出てきます。販売品目や製造品目も増え、仕入先や外注先など取引先の数も膨大になってきます。当然ながら経理としてこなさなければならない業務も複雑になってきます。「財務諸表」は企業の複雑な経理を帳簿にまとめ、経営成績や財政状態を分かりやすく開示するものです。簿記2級を取得すると、「財務諸表」の理解に役立つスキルが身につきます。
1級で身につくのは会計学や原価計算に関する知識です。2級で学んだ商業簿記や工業簿記の他に会計学までが主な試験範囲となって加わります。1級で大きく異なるのは会社法や会計基準、財務諸表等規則など企業会計の理解に不可欠とも言える法律的な要素が出てくることです。1級になると企業グループ全体の経営管理や財務分析が可能になるレベルであり、経営的な視点で業務を行うことになります。それ以前とは異なり、税理士や公認会計士とも対等な立場で話をすることができるのが簿記1級取得者です。合格難易度も高く、合格できるのは受験者の10%未満と言われています。簿記の1級を持っていれば、税理士や公認会計士の受験に役立つスキルが身についていると考えておけばいいでしょう。
3. 簿記を取得するメリットは多い!
簿記の資格を持っていると、まず役立つのは、経理系の仕事に就きやすくなるということです。実際に企業で募集している経理系の職種では、応募資格として簿記3級以上を掲げているところは珍しくありません。ですから、新卒にしても中途で就職を考えるにしても、経理系の仕事を目指すなら簿記3級以上を取得しておけば有利と考えていいでしょう。もちろん、それ以上の2級や1級を取得していればさらに就職には有利になります。しかし、3級でも「さらに上を目指して勉強中である」というアピールは十分可能です。
簿記の資格を持っていると、会計ソフトを使いこなすことができます。経理系の業務には小口現金管理や伝票記帳などがありますが、その他にも資金繰りや財産管理に予算編成、資金調達までお金に関する様々なものが含まれてきます。そして、会計ソフトを正確に使うにはこれらの知識が必要です。ソフトを使う場合でも、誰もがすぐに使えるというわけではありません。会計ソフトは帳簿作成だけでなく、財務諸表の作成にもなくてはならないものです。クラウドの会計ソフトも増えており、勘定科目を自動で提案してくれる便利な機能は増えていますが、全く知識を持たない人が使うにはまだまだ難しい部分もあります。
簿記は様々な仕事に役立つというのも大きなメリットです。利益を考えて経営全体を見ていくということは、何も企業だけに限定されているわけではありません。フリーランスや個人事業主といった小規模で起業する場合にも簿記を持っていると経営する上で何かと役立つのです。自分の事業が実際にはどれだけの利益をあげているのか正確に把握することができます。事業が順調に伸び、法人化する場合でも2級以上の簿記を持っていれば冷静に自社の成長を分析できるでしょう。1級を取得できれば税理士に挑戦することもできます。実務を積んでスキルを身につけていけば税理士としての独立開業も可能です。外部の人間として企業の経営に関するアドバイスを行うなど、幅広い活躍が期待できるかもしれません。