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現金

簿記上の現金には、私たちが普通使っている現金の他に、他人振出小切手・郵便為替証書・送金小切手・株式配当金領収書・期限が到来した公社債の利札などの通貨代用証券があります。これらは、銀行や郵便局ですぐに現金にしてもらえるので、簿記上は現金として処理されます。これらの内容は知らなくても日商簿記3級の試験上は問題ありませんが、興味がある方のためにざっと解説をしておきます。

 

 他人振出小切手

他人振出小切手とは、他人が振り出した小切手のことです。以下では具体的な事例で説明します。

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<事例>

1 家康商店は、今川銀行に当座の口座を開き、当座預金に預金をします。今川銀行から小切手帳を買います。

2 家康商店は信長商店から商品を買い、小切手帳に金額を記載して、信長商店に小切手を振り出します。

3 信長商店は、家康商店に商品を売り、小切手を受け取ります。信長商店は、最寄の豊臣銀行に持ち込み現金化します。

4 豊臣銀行は、小切手を今川銀行に呈示して現金を受け取り、今川銀行は、家康商店の当座口座から現金を引き落とします。

 

この場合、信長商店にとって家康商店の振り出した小切手は、他人が振り出した小切手すなわち他人振出小切手となります。現金として処理します。一方家康商店は、自分が振り出した小切手なので、当座預金勘定で処理します。当座の項目でもう一度説明します。

 

 郵便為替証書

郵便為替証書とは、郵便局で扱っている為替証書のことです。現金を証書にして郵便で送ることができます。証書の発行には、手数料がかかります。受け取った側は、証書を郵便局へ持っていけば現金に換えられるため、現金として処理されます。

 

 送金小切手

送金小切手とは、銀行で発行された小切手の事です。現金を証書にして郵便で送ることができます。受け取った側は、証書を指定された銀行へ持っていけば現金に換えられます。現在日本ではあまり使われていないようですが、外国への送金には便利なようです。

 

 株式配当金領収書

株式配当金領収書とは、会社からの配当金を分配するため送られてくる証書のことです。指定された銀行等に持っていけば現金と換えることができます。

 

 期限が到来した公社債の利札

公社債とは、国や会社が発行した債券のことをいいます。 国や会社は債券を発行することによってお金を借りることができます。私達がお金を出して債券を買うと、国や会社はそのお金を基に事業などを行います。その後、私達は債券と引き換えにお金を受け取ることができます。国が発行したものを国債といい、会社が発行したものを社債といいます。
また、公社債は私達が国や会社に貸したお金ですから、購入すると利息を受け取ることができます。この利息を受け取ることができるようになることを期限が到来するといいます。電子化される前の公社債の証券には、期限が記された利札というものがついていました。利払日が記された利札を利払日以後に銀行等に持ち込んで現金を受け取ることができました。現在は、利息は口座に直接振り込まれるため、実際には利札は使われていません。

 

 仕訳例

設例1

商品を売って100円の現金を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 100 売上 100

現金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

設例2

商品を売って100円の郵便為替証書を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 100 売上 100

現金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

設例3

商品を売って100円の送金小切手を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 100 売上 100

現金(資産)が100円増加し、売上(収益)が100円増加します。

 

設例4

100円の株式配当領収書を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 100 受取配当金 100

現金(資産)が100円増加し、受取配当金(収益)が100円増加します。

 

 設例5

100円の公社債の利札の期限が到来した。

借方 金額 貸方 金額
現金 100 受取利息 100

現金(資産)が100円増加し、受取利息(収益)が100円増加します。

 

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