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減価償却

 減価償却の定義

減価償却とは、固定資産について時間の経過による価値の減少を費用化することをいいます。例えば100万円買った新車を数年経って売ろうとしても100万円では売れません。その車の価値の減少を減価といいます。その価値の減少分を当期の費用として計上し、その減価分を固定資産の取得原価から減らします。これを減価償却といいます。その費用を減価償却費といいます。

 

 減価償却の計算方法

減価償却の計算方法には、定額法・定率法・級数法・生産高比例法などがあります。日商簿記3級では、定額法を勉強します。             
減価償却には、取得原価・耐用年数・残存価額の3要素があります。取得原価とは、固定資産を購入するために使った金額のことです。             
耐用年数とは、固定資産の利用可能年数です。残存価額とは、その固定資産を耐用年数まで使用した時に残っているであろう価値のことをいいます。             
定額法による減価償却費は、「(取得原価-残存価額)÷耐用年数」で求めます。年の途中で買った資産の減価償却費は、次のように求めます。             
減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数×(月数÷12ヶ月)

 

 減価償却費の記帳方法

減価償却費の記帳方法には、直接法と間接法があります。

 

設例1 直接法

7月1日に取得した車両運搬具(取得原価2,000円、耐用年数6年、残存価額は取得原価の10%)を定額法により減価償却を行う。当社の決算日は12月31日である。直接法で仕訳をしなさい。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 150 車両運搬具 150

減価償却費(費用)が150円増加し、車両運搬具(資産)が150円減少します。
(取得原価2,000円-残存価額2,000円×10%)×6ヶ月(7月1日~12月31日)÷12ヶ月=減価償却費150円

 

設例2 間接法

7月1日に取得した車両運搬具(取得原価2,000円、耐用年数6年、残存価額は取得原価の10%)を定額法により減価償却を行う。当社の決算日は12月31日である。間接法で仕訳をしなさい。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 150 減価償却累計額 150

減価償却費(資産)が150円増加し、減価償却累計額(負債)が150円増加します。
減価償却累計額は、資産のマイナス項目(負債)とされています。

 

 固定資産の売却

固定資産の売却時の帳簿価額は、取得原価から減価償却累計額(既償却額)を差し引いた金額です。売却価額が帳簿価額より高ければ固定資産売却益(収益)が発生し、売却価額が帳簿価額より安ければ固定資産売却損(費用)が発生します。

 

設例3

車両運搬具(取得原価4,000円、耐用年数6年、残存価額は取得原価の10%)を既に2年間使用し、当期の6月30日に円で売却した。売却代金は決算日現在未収である。当社の決算日は12月31日であり、定額法により減価償却している。直接法で仕訳をしなさい。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 300 車両運搬具 2.800
未収金 2,000
固定資産売却損 500

減価償却費(費用)が300円増加し、未収金(資産)が2,000円増加し、固定資産売却損(費用)が500円増加し、車両運搬具(資産)が2,800円減少します。
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×2年=減価償却費1,200円
取得原価4,000円-減価償却累計額1,200円=期首帳簿価額2,800円
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷6年×6ヶ月÷12ヶ月=減価償却費300円
取得原価4,000円-減価償却累計額1,200円-減価償却費300円-売却代金2,000円
=固定資産売却損500円

 

設例4

車両運搬具(取得原価4,000円、耐用年数6年、残存価額は取得原価の10%)を既に2年間使用し、当期の6月30日に2,000円で売却した。売却代金は決算日現在未収である。当社の決算日は12月31日であり、定額法により減価償却している。間接法で仕訳をしなさい。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 1,200 車両運搬具 4,000
減価償却費 300
未収金 2,000
固定資産売却損 500

減価償却累計額(負債)が1,200円減少し、減価償却費(費用)が300円増加し、未収金(資産)が2,000円増加し、固定資産売却損(費用)が500円増加し、車両運搬具(資産)が4,000円減少します。
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×2年=減価償却累計額1,200円
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×6ヶ月÷12ヶ月
=減価償却費300円
取得原価4,000円-減価償却累計額1,200円-減価償却費300円-売却代金2,000円
=固定資産売却損500円

 

設例5

車両運搬具(取得原価4,000円、耐用年数6年、残存価額は取得原価の10%)を既に2年間使用し、当期の6月30日に3,000円で売却した。売却代金は決算日現在未収である。当社の決算日は12月31日であり、定額法により減価償却している。直接法で仕訳をしなさい。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 300 車両運搬具 2,800
未収金 3,000 固定資産売却益 500

減価償却費(費用)が300円増加し、未収金(資産)が3,000円増加し、車両運搬具(資産)が2,800円減少し、固定資産売却益(収益)が500円増加します。
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×2年=減価償却累計額1,200円
取得原価4,000円-減価償却累計額1,200円=期首帳簿価額2,800円
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×6ヶ月÷12ヶ月
=減価償却費300円
売却代金3,000円-(取得原価4,000円-減価償却累計額1,200円-減価償却費300円)
=固定資産売却益500円

 

設例6

<車両運搬具(取得原価4,000円、耐用年数6年、残存価額は取得原価の10%)を既に2年間使用し、当期の6月30日に3,000円で売却した。売却代金は決算日現在未収である。当社の決算日は12月31日であり、定額法により減価償却している。間接法で仕訳をしなさい。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 1,200 車両運搬具 4,000
減価償却費 300 固定資産売却益 500
未収金 3,000

減価償却累計額(負債)が1,200円減少し、減価償却費(費用)が300円増加し、未収金(資産)が3,000円増加し、車両運搬具(資産)が4,000円減少し、固定資産売却益(収益)が500円増加します。
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×2年=減価償却累計額1,200円
(取得原価4,000円-取得原価4,000円×10%)÷耐用年数6年×6ヶ月÷12ヶ月
=減価償却費300円
売却代金3,000円-(取得原価4,000円-減価償却累計額1,200円-減価償却費300円)
=固定資産売却益500円

 

 実務における残存価額の廃止

固定資産の取得原価から残存価額を差し引いた金額を償却可能限度額といいます。平成19年4月1日以降に取得した固定資産について残存価額と償却可能限度額が廃止されました。実務では備忘価額1円を残して法定耐用年数で取得原価の全額を減価償却できるようになりました。

 

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