ワンイヤールール(わんいやーるーる)
ワンイヤールール(one year rule)とは、貸借対照表上の資産・負債を流動・固定に区分する基準のひとつです。1年基準とも呼ばれます。ワンイヤールールは、貸借対照表日(決算日)の翌日から一年以内に現金化される資産又は支払期限が到来する負債を流動資産・流動負債に分類し、一年を超えて現金化される資産又は支払期限が到来する債務を固定資産・固定負債に分類する基準です。ワンイヤールールは債務者の支払能力の判定基準として用いられます。
貸借対照表上の資産・負債の流動・固定の分類は、企業会計原則注解16により、まず正常営業循環基準を適用して分類され、ワンイヤールールは正常営業循環基準を補足する基準として適用されます。
したがって、資産のうち営業取引から発生した現金預金・棚卸資産(商品・製品・半製品・原材料・仕掛品など)・売上債権(受取手形・売掛金・前払金など)は、正常営業循環基準により、流動資産に分類されます。ただし、売上債権であっても、破産更生債権等で決算日の翌日から1年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産の投資その他の資産に分類されます。そして上記以外の資産は、ワンイヤールールにより、貸借対照表日(決算日)の翌日から1年以内に現金化される資産は流動資産に分類され、1年を超えて現金化される資産は固定資産に分類されます。
例えば、貸付金のうち決算日の翌日から1年以内に現金化される貸付金は、ワンイヤールールにより短期貸付金として流動資産に分類され、決算日の翌日から1年を超えた後に現金化される貸付金は、ワンイヤールールにより長期貸付金として固定資産に分類されます。差入保証金や未収金も同様です。
また、負債のうち営業取引から発生した買入債務(支払手形・買掛金・前受金など)は、正常営業循環基準により、流動負債に分類されます。そして上記以外の負債は、ワンイヤールールにより、貸借対照表日(決算日)の翌日から1年以内により現金により支払われる負債は流動負債に分類され、1年を超えた後に支払われる負債は固定負債に分類されます。
例えば、借入金のうち決算日の翌日から1年以内に支払期限が到来する借入金は、ワンイヤールールにより流動負債に分類され、決算日の翌日から1年を超えた後に支払期限が到来する借入金は、ワンイヤールールにより長期借入金として固定負債に分類されます。受入保証金や未払金も同様です。
経過勘定のうち、前払費用は、ワンイヤールールにより、決算日の翌日から1年以内に費用化されるものは流動資産に分類され、1年を超えた後に費用化されるものは、固定資産の投資その他の資産に分類されます。未収収益は、流動資産に分類され、未払費用と前受収益は、流動負債に分類されます。
現金預金は、原則として流動資産に分類されますが、預金は、ワンイヤールールにより、決算日の翌日から1年以内に期限が到来するものは流動資産に分類され、1年を超えた後に期限が到来するものは固定資産の投資その他の資産に分類されます。
有価証券のうち、証券市場に流通し、かつ一時的に所有するものは流動資産に分類され、証券市場に流通しないもの又は他の企業を支配する目的で長期的に所有するものは、固定資産の投資その他の資産に分類されます。
固定資産のうち残存耐用年数が1年以下になったものは、流動資産に分類されず固定資産に分類される一方、棚卸資産のうち恒常的な余剰在庫として長期間に亘って所有するものは、固定資産に分類されず流動資産に分類されます。